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天然岩牡蠣を頬張る幸せ。大ぶりで美味い牡蠣の理由 | おいしんぐ!
鳥海山の「伏流水」を巡る美食旅

天然岩牡蠣を頬張る幸せ。大ぶりで美味い牡蠣の理由

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天然岩牡蠣を頬張る幸せ。大ぶりで美味い牡蠣の理由

著者撮影
7月〜8月中旬にかけて、旬を迎える「岩牡蠣」。その特徴は、なんと言っても大きさにある。大ぶりで肉厚な身は、殻付きで1個あたり300〜400g。大きなものだと、500gを超える。その身にはミルクをたっぷり携え、一重に頬張れば、磯の香りと共に、濃厚でクリーミーなミルクが口の中に広がる。素材の美味さをダイレクトに味わうなら、やはり「生」が1番。

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鳥海山の恩恵を受ける天然岩牡蠣

象潟産(秋田県)、庄内浜産(山形県)の天然岩牡蠣は、ブランドとして確固たる地位を確立している。今回出会った天然岩牡蠣たちは、威厳すら感じるほど立派に育っていた。美味しくいただけたのは言わずもがな。

では、何故このエリアの岩牡蠣は、大ぶりで美味いのか ──。その理由は、「湧水」にある。

著者撮影
鳥海山からもたらされる、極めて水質の良い地下水である「伏流水」が、立派な岩牡蠣を育てる。2つの県に跨る、標高2,236mの活火山「鳥海山」それがもたらす「伏流水」。この良質な水が、秋田と山形の両県にもたらす影響は、計り知れない。

我々は、この「伏流水」が吹き出す現場に足を運ぶことにした。

鳥海山よりもたらされる恵み「元滝伏流水」

著者撮影
象潟駅から、車で南東へ約20分。鳥海山よりもたらされる伏流水が吹き出す「元滝伏流水(もとたきふくりゅうすい)」は、「平成の名水百選」にも認定されている観光スポット。遊歩道を10分ほど進んでいくと、目の前に広がるのは、岩盤から吹き出す白妙の滝。なんとも荘厳で、幻想的な光景に圧倒される。

著者撮影
さらに奥へと進めば、濃緑と白妙の滝とのコントラストが美しい光景を目にすることができる。取材当日は、突き刺すような日差しが汗を滲ませる天候であったが、ここ一帯は、それを完全に忘れさせるほど涼やか。とても静謐な空間であることを認識する。ただ、滝の声だけが一帯に木霊する。生命の息吹は、猛々しい。

著者撮影
この湧水量は、1日あたり5万トンほどあるそう。雪解け水など、鳥海山に染み込んだ大量の水が、長い年月をかけて、幅約30mの岩肌から豪快に吹き出す。このミネラルを豊富に含んだ「伏流水」が、岩牡蠣の餌となるプランクトンを育て、日本海へと流れ出る。また、伏流水は海底からも湧き出し、岩牡蠣の成長に適した水温を作る。故に、身が引き締まった、大ぶりな岩牡蠣が育つのである。

元滝伏流水

 

素潜りで獲る圧巻の天然岩牡蠣漁

著者撮影
天然岩牡蠣漁の最盛期は、7〜8月中旬にかけて。今回、【秋田県漁業仕会 第八直営丸の漁業士・佐々木健一さん】にご協力いただき、天然岩牡蠣漁の漁場へ。通常、漁団のリーダー達は早朝4時には起床し、その日の海の状態について確認を行う。天候も鑑み、出港可否を判断。その結果は掲示板を通して、各船・漁師たちに伝達されるのだそうだ。

著者撮影
岩牡蠣漁は、「くぐり」と呼ばれる海士たちが素潜りで行う。約4キロの重りを腰に巻き、スウェットスーツに身を包んだら、今度は籠を投げ入れ、最後に自身の体を大海に預ける。中空に佐々木さんのフィンが見えたら、戦闘開始の合図。籠のみを残し、佐々木さんの姿が海の中に消える。佐々木さんの一連の動作は、極めて力強く、そしてしなやかだ。

著者撮影
潜水後まもなくすると、海中から佐々木さんが勢い良く姿を現した。高く掲げたその手の中には、岩牡蠣を確認できる。1度に2〜3個ほどだろうか。約10m潜って岩場に張り付く岩牡蠣を鉄製のカキオコで剥がし取っていくのだが、予想よりもかなりの早業に、素直に驚くばかり。1時間もしないうちに、丸籠には数十個の牡蠣の山ができた。

著者撮影
獲れた岩牡蠣は、その日の午後催されたBBQでいただいた。炭火で炙られた牡蠣の身は、生の状態よりも、より一層身が引き締まった印象である。ずっしり舌に絡みついてくるようなミルク。それらが絡み合い、旨味の塊となって、食道を抜ける。

鳥海山の多大なる恵みを受けた「天然岩牡蠣」。それを食すことができるのは、佐々木さんのような漁師の方たちが居てこそである。海の幸と我々を繋いでくれている方々に、自然と感謝の念が湧いてくる。

天然岩牡蠣漁の「いま」を聞く

著者撮影
山形県内を縦断する「最上川」の河口に位置する「酒田港」。その直ぐ側にあるのが、ここ「さかた海鮮市場」である。食事処も在り、日本海や港を眺めながら、水揚げされたばかりの新鮮な魚介たちを踏んだんに楽しむことができる。

著者撮影
この市場の1Fに構える【菅原鮮魚 さかた海鮮市場本舗】は、庄内浜産で獲れる「地魚」を主に扱われている鮮魚店。鮮魚は勿論、加工品も多数扱われており、それらを求める多数のお客さんで朝から賑わっていた。庄内エリアにおける岩牡蠣漁について、こちらの【菅原鮮魚 庄内地区業務卸担当チーフ・佐藤和紀さん】に、話をお聞きすることができた。

著者撮影
まず水揚げ量だが、ここ数年だいぶ減ってきているのだそう。水質・水温などの海中環境の変化が、その大きな原因では無いかとの事だ。これは、秋田県「にかほっと」で聞いた話とも重なる。また、水揚げ量の良し悪しは、その年によって、またエリアによっても異なるという。さらに、岩牡蠣漁の時期は7月〜8月に集中するが、その期間内でも「最初は良かったのに、後半は……」などという状況もあるそうだ。「日々変化する、買い手のニーズ(大きさ・数量など)に応えていくのも、なかなか大変」という佐藤さんの言葉が心に沁みる。

菅原鮮魚

 

天然岩牡蠣と旬の味覚を名店でいただく~笑福~

著者撮影
象潟駅から車で南へ5分ほどのところに、居酒屋「笑福」は在る。創業は1998年だそうだから、間もなく20年になる。地元の方が太鼓判を押す、人気店だ。まるで民家を改装したような店内は、落ち着いてしっぽり呑める雰囲気を十分に纏っている。

著者撮影
こちらでいただけるのは、「地」の食材を中心とした海の幸と山の幸。中でも、やはり海の幸の醍醐味を味わえる刺身盛り合わせは外せない。素材の持つ旨味を心底楽しめる厚み、そして絶妙な温度にて提供される。ネタごとに歯応えや旨味は異なるものの、共通しているのはネタが放つ活力、みずみずしさである。

笑福で提供される鳥海山の恩恵を受けた魚介料理

天然岩牡蠣

著者撮影
 
象潟の天然岩牡蠣は、頬張ろうと口に殻を持っていくと、鼻腔がたちまち磯の香りに包まれる。改めて見ると、身全体に対して、ミルクが占める割合が非常に大きいのが分かる。育ちの良い証拠だ。口に頬張った次の瞬間、パンッと膜を破り、一瞬にして口の中に撹拌するミルク。ねっとりと舌全体を覆い、弾力に富んだ牡蠣の身と絡み合う。一連の流れの中に、水っぽさなど皆無だ。食道に抜けたあとに残る、なんとも言えない余韻に浸る。

串あなご

著者撮影
圧巻のビジュアルは、穴子をくねらせ串に刺し、丸焼きにしたもの。登場とともに、なんとも香ばしい薫りが立ち込める。これを一口サイズにぶつ切りし、いただく。丸焼き故に部位ごとに異なる食感と味わい。その振り幅が実に楽しく、終始飽きることはない。噛むたびにググッと跳ね返してくるような弾力に、独特の苦味や香ばしさが同居する。唾液と混ざり合いながら、口の中に穴子の素の旨味が染み渡る。

アジフライ

著者撮影
海からほど近い居酒屋で食らうアジフライは美味い。やや粗目の衣に身を包んだ鯵は、もちろん地物。ふっくらとしながら、儚く崩れる身の美味さを感じるには、ほどよい厚さである。衣も厚すぎず、油切れも良好。

笑福

 

魚介だけじゃない!鳥海山の伏流水で育った旬の味覚 ~Nico~

著者撮影
山形県は酒田市。JR羽越本線酒田駅から、南へ車で約10分の所に在る「Restaurant Nico」。こちらで頂けるのは、庄内の“旬の食材”を使ったフランス料理。「酒田でしか味わえないフランス料理」をコンセプトに、魚介・肉・野菜は勿論、塩やハーブ等の調味料までも庄内産にこだわる。

お店のオーナーシェフを務めているのは、【太田舟二(しゅうじ)さん】。尚、太田さんのお父様も、同じ酒田市で50年の歴史を持つ老舗フランス料理店「欅(けやき)」の総料理長として、厨房を取り仕切っておられた方。現在は「ロジアス」という、やはり酒田市に構えるフランス料理店の顧問をされているそうで、酒田になくてはならないフレンチシェフ親子と言えるだろう。

著者撮影
今回頂いたおまかせコースは、岩牡蠣はもちろん、だだちゃ豆や椎茸、バイ貝、真鯛など、いずれも庄内産の食材が皿を飾り、メインは山形牛が担う。庄内の海と大地で育まれた生命が、ギュッと凝縮されたような2時間半であった。

Nicoで提供される庄内の海と大地の幸が絶妙に交わる料理

桃と岩牡蠣のマリネ、ミントの香り

著者撮影
「天然岩牡蠣」と「桃」の協奏曲。濃厚なミルクを携えた牡蠣。充分に携えたミルクの発散と同時に、桃を抱き寄せ、旨味・塩気を覚醒させる。若い桃の身は凛としており、ほどよい噛み応えが牡蠣との食感に緩急をつけてくれる。これが実に心地良い。また、降り掛けられた鳥海高原ヨーグルトをフリーズドライしたパウダーは、その優しい酸味で主演を引き立てる。庄内の海と大地の恵みが、口の中で見事に調和する逸品。

黒バイ貝のコロッケ ブルゴーニュ風

著者撮影
シェフのスペシャリテ。薄手の衣の中に隠れていたのは、細かく刻まれたバイ貝。さっくりと揚がった軽い衣の食感を携え、終始押し返してくるような弾力が心地良い。鮮やかな濃緑のパセリソースとの相性も抜群で、濃厚な甘味と塩気が、オイルを伝って口内を染める。庄内の山と海。ここでも、この二つの幸がとてもいいハーモニーを奏でていた。

山形牛フィレ肉のロースト 庄内野菜を添えて

著者撮影
メインを飾るのは、山形牛。添えるのは、遊佐の海水で作られた「酒田の塩」。鳥海山の伏流水の恩恵を、しっかり受けている塩だ。山形牛のググッと迫ってくるような肉々しさは、和牛たる威厳を感じさせる。一方で、肉の繊維はなんとも素直。噛みしめるままに、トロけ崩れる。また、付け合わせのアスパラ、ヤングコーンは香ばしく炙られ、素材の芯に瑞々しさを内包する。噛み締めると、ジュワァッと優しく滲み出てくる甘味は、庄内の大地で育まれたものである。

Nico

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