食卓を楽しくする”器と食の美味しい関係”

「有田焼と食材」を追いかける器旅<後編>

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磁器の町「有田」を中心に、器と食の魅力を追いかける旅をしてきたタベアルキスト一行。
続いて訪れたのは老舗焼肉店で「はがくれ牛」です。


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創業30年を超える老舗焼肉店で「はがくれ牛」を味わう


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有田の中心部から少し離れたところにある「かむら」は、質の良い「はがくれ牛」がリーズナブルな価格でいただける人気のお店。レストランと焼肉店を併設していて、県外からも足をはこぶ人も多いのだとか。「はがくれ牛」とは、佐賀県の有田地域(旧西有田町)で生産された牛肉の旧い呼び方。 一般的に、現在は県内の食肉牛は「佐賀牛」「佐賀県産牛」などとして統合されていますが、ここ「かむら」では地元である旧西有田町の肉を提供することにこだわりを持ち、「はがくれ牛」という名称をそのまま使っているそうだ。 (先に訪問した福野畜産も、この「はがくれ牛」の生産地域)


はがくれ盛り合わせ:4,800円(税込)著者撮影
ヒレ、ロース、カルビといいとこ取りの部位を集めた盛り合わせ。 やや厚めのカットで、しっかりとサシの入った黒毛和牛ならではのおいしさが楽しめる。


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スッキリとしたキレのよい脂ときめ細やかな繊維のヒレ肉は、口の中でほどけるような食感。 じんわりと溢れ出す旨味がたまりません。コクのあるロースやジューシーでふわふわのカルビも絶品。それもそのはず。 はがくれ牛は先述の通り佐賀牛であり、その中でも、「かむら」では旧西有田町産のA5等級の牛肉にこだわっているからだ。 有田地域は黒髪山系、竜門峡などの水源に囲まれ、水質が良いといわれている。 水の良いところで育つ食肉は脂の質が良くなるといわれており、このスッキリとしながらコクのある味わいは、水質の良い証とも言えるで。


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焼肉のタレは30年レシピを一切変えていないというこだわりのタレ。ニンニクやごまの効いたタレは肉の脂の甘みを引き立てる。

かむら

 

有田焼を専門に扱う商社が集まる卸売団地「アリタセラ」


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「アリタセラ」は、大きな通りを挟んで左右に店舗が軒を連ねており、それぞれショールームのようになっている。 商社ならではの品揃えが魅力で、のぞいて回るだけでもかなり見ごたえがある。 中には破格のアウトレット商品などもあり、掘り出し物を探しに遠方から訪れる人もいるそうだ。


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その中の1軒、「まるぶん」に立ち寄りました。有田400年の伝統に培われた技術を生かし、現在の生活様式に合うデザインや機能性を備えた器を提案しているそうだ。 明るく広々とした店内はシリーズごとに簡単なテーブルコーディネートとして展示され、実際に使う時のイメージがしやすい。


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「究極のラーメン鉢」シリーズはTV番組の企画から生まれたもので、「家庭でインスタントラーメンをおいしく食べるための器」をコンセプトにデザインされたもの。 このラーメン鉢にそれぞれの窯元が独自に絵付けや釉薬がけを行い、窯元の個性が感じられるバリエーション豊かなラーメン鉢ができあがったそうだ。 有田の泉山陶石を使った白い素地を生かしたデザインは凜とした潔さがある。


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有田やその周辺のお店を巡ってきて気づいたのは、有田焼の器というのはあまりにも地元の人々の日常に根付いているという事でした。「有田の人にはそれぞれマイ茶碗があり、小さな子供でさえ自分のお茶碗を愛着を持って大切に扱う」などという話を聞くと、日常の器でありながらも特別な存在なんだと感じました。アウトレットコーナーで、余白のある蔓花模様の大皿と、モダンな縞模様の蓋付き小鉢を買いました。自分にとって特別な器に育てて行けたらと思う。

アリタセラ

 

くつろぎのカフェでひと休み


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有田の水源を支える竜門ダムの支流となっている龍門峡沿いの「龍泉荘」という川魚料理を専門にした料亭の奥に、「木もれ陽」という、くつろぎのカフェがある。料亭の別棟に併設されたカフェながら、ラテアートのチャンピオンが在籍しているという本格派のこだわりが感じられるお店だ。


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店主は「UCCバリスタ九州大会2015」で優勝したラテアートのスペシャリスト。きめ細かなフォームミルクで表現される美しいラテアートは必見。コーヒーには、日本名水百選にも選ばれた竜門峡の湧き水を使用し、その口当たりの良いおいしい水に合わせてコーヒーを生豆からブレンド、自家焙煎をしている。 8時間かけて落とす水出しコーヒーもオススメ。テラスから見下ろす竜門峡の湧き水を使い、コクとナッツのような香ばしいコーヒーはスッと体に入ってくる。


はがくれ盛り合わせ:840円(税込)著者撮影
木もれ陽バーガーは佐賀牛のステーキ用肉を使用したパティをサンドした贅沢なバーガー。佐賀牛100%で、柔らかくジューシーな肉の旨味がたっぷり楽しめる。バンズはバーガーに合わせて作られており、あっさりとして肉の食感や味わいを邪魔しない味。 もちろんお皿もさりげなく有田焼が使われている。


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バンズのみならず、パンも人気で週末には遠方から噂を聞きつけて買いに来る人もいるほど。天然酵母を使用し時間をかけて作られたパンは、ふんわりと酵母が香り味わい深く、シンプルなパンだけでなく、菓子パンや惣菜パンでもおいしくいただける。

龍泉荘 奥の院 木もれ陽

 

人との交流を通じてお茶をしることができる施設


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「嬉茶楽館」は嬉野茶の品質向上と普及を目的とした施設となっており、品評会出品用のお茶を作ったりする他、茶摘みのシーズンには一般の方も茶摘み体験や手もみ体験、お茶の淹れ方講座などが体験できる。嬉野茶の一番の特徴は「釜煎り」というその製法にある。通常は生茶葉を蒸してから茶揉みしますが、「釜煎り茶」は生茶葉を直接高温の釜で炒る。

嬉野の炒り釜は「傾斜釜」と呼ばれており、釜を斜めに傾斜させることで製茶効率をあげる改良がなされている。釜底が400℃になった時に生茶葉を投入し、そのまま12分ほど葉を炒った後、むしろに広げて手で茶葉を揉んで行く。揉んだ茶葉は6時間ほど干すと水分が抜け、製品として加工する前の状態である「荒茶」に仕上がったときには1/5くらいの重さになっているそうだ。


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実際は手作業で行うのは体験時のみで、荒茶への加工は大型の機械で行われている。大まかな工程は同じですが、9つの機械を通って炒ったり揉んだりされていく。 また、こちらの工場では別のラインで蒸し製玉緑茶も作られている。そして荒茶に乾燥や分別・ブレンドという加工を施し、製品としてのお茶ができあがる。 新茶は毎年8月に全国規模の品評会が行われ、9月にその結果を受けて入札が行われる。

品評会入賞茶として店頭に並ぶのだそうだ。 嬉野茶は蒸し製玉録茶で平成21〜25年まで5年連続農林水産大臣賞を受賞しており、その後も地域賞などの受賞を続けている。捻れておらずくるりと丸まった勾玉型の茶葉が特徴で、まろやかで旨味の強いお茶だ。一方、釜炒り茶は茶葉そのものの水分で炒るので大変に香りが良く、のどごしの良いお茶になっている。


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こうして高品質なお茶作りの努力がなされている嬉野茶ですが、やはり農業従事者の高齢化は避けて通れない問題のようです。茶園の後継者がおらず、耕作放棄地になってしまうと、嬉野茶の生産量も減ってしまう。 また、お茶の需要がペットボトルに取って代わられつつあり、お茶専門店で販売するような品質の良いお茶を作っても、その需要がなければ生産者のモチベーションも下がってしまうと言われている。


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工場見学の後は、お茶風呂に入れるという「茶心の宿 和楽園」に立ち寄りました。急須から流れ出るお湯はなんと本物のお茶!茶処嬉野が温泉地だからこそできる贅沢。このほかにも「茶心の宿 和楽園」では、滞在中の様々なシーンに合わせたお茶を提案してくださるそうだ。

嬉茶楽館

嬉野温泉 茶心の宿 和楽園

 

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