拉麺放浪記~365日ラーメン日和~ Vol.2

恵比寿の「Ramen & Bar ABRI Ebisu」で引き算のスープを〆に味わう

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東京都
代官山・恵比寿・広尾
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ラーメン
山手線
恵比寿駅
東京グルメ
東京ラーメン
恵比寿の「Ramen & Bar ABRI Ebisu」で引き算のスープを〆に味わう

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ラーメンを目的にして食べ歩きをするようになってから20数年。毎日のようにラーメンを食べ歩き、1年間に食する杯数が日数を遥かに超えるようになってもう5年以上になる…。
今回もこれからその店に行きたくなる理由、そのラーメンを食べたくなる理由を考えながら食べ歩いているお店を紹介しよう。


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「引き算の味」を追求するラーメン

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「足し算の味」 「引き算の味」という言葉がある。「足し算」とは文字通り、様々な素材の味を重ねて、複雑で深い旨味を構築したものだ。一方「引き算」は、その「足し算」を出来るだけ排除し、素材そのものの旨味を最大限に引き出したものである。

昔のラーメンは、豚骨・鶏ガラや煮干しなどを炊き、醤油や塩ベースのタレと合わせていた。臭み消しのためにネギ等の野菜を少し使ったりはするが、味の構成はごくシンプルなものであった。その後の進化の過程でスープやタレに色々な食材が使われる様になり、それまでには無かった深い旨味の「足し算の味」が構築されてきた。それがラーメンが国民食となった原動力であったと思う。

その一方で、そういった複雑さを削ぎ落として素材そのものの風味を生かした「引き算の味」を追求する流れが、ここ数年特に加速している様に感じられる。

「Ramen & Bar ABRI Ebisu」の〆のラーメンとしてのこだわり

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今年の7月に東京・恵比寿にオープンした「Ramen & Bar ABRI Ebisu」は、金沢が本店で、その2号店である。お店の入口はガラス張りで、女性でも入りやすく、中に入ると落ち着ける雰囲気になっている。

金沢の中心・香林坊にある本店は、北陸の美味しい食材を使ったおつまみで日本酒や国産のクラフトビールを楽しむバーであり、その〆にのどぐろ煮干しを使ったラーメンが食べられるお店である。恵比寿店もそのコンセプトを踏襲しており、昼はラーメンのみの注文も可能だが、夜はワンドリンク以上の注文が必須なバーとしての営業となっている。

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まずはクラフトビールで喉を潤したら、「のどぐろだしのおでん盛り合わせ(夏季はお休みの場合あり)」や「のどぐろのフィッシュ&チップス」、「金沢”もりのとうふや”の冷やっこ」などをつまみながら、ゆっくりビールと日本酒を楽しみたい。

国内の大手メーカーでは作られない様々なスタイルのクラフトビールや、日本各地から厳選された日本初が取り揃えられている。「ABRI」をはじめとする金沢の飲食店が集まって金澤ブルワリーで造られたオリジナルビールが繋がっている事もある。

そして、あまり酔い過ぎないうちに、〆のラーメンを注文する。
その時々で限定メニューなどもあるが、初めての場合は『のどぐろ煮干しだしらーめん』か『のどぐろ煮干し醤油らーめん』をお薦めしたい。

『のどぐろ煮干しだしらーめん』の魅力

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『のどぐろ煮干しだしらーめん』は、のどぐろ煮干し100%の出汁に、塩と薄口醤油と昆布のタレが合わせてあり、究極の「引き算の味」と言うべきスープになっている。麵屋棣鄂の多加水中細ストレート麺は適度な歯応えで、啜り心地やあっさりとしたスープとのバランスも良い。しっとりと低温調理された能登豚のモモチャーシューやメンマなどの具材は、スープの風味を邪魔しない様に別皿で提供される。

ラーメンとしてはかなり薄味の部類になるが、のどぐろ出汁の旨味がしっかり感じられて物足りなさは無い。少量載せられているのどぐろの魚粉をスープに溶かすと、風味が増して更に香り立つ様になる。麵や具材も全て美味しいのだが、とにかく出汁の風味を楽しみたい。

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『のどぐろ煮干し醤油らーめん』の方は、提供直前にスープに追い鰹の様に鶏節を加えて風味を加えてあり、数種類の醤油を合わせたタレが使われている。具材も直接丼に盛り付けられ、動物系の微かな風味がのどぐろ出汁の旨味に輪郭を与えている。こちらのスープには、麵屋棣鄂の低加水中細ストレート麺が合わせてあり、のどぐろ出汁を纏ったしっとりとした舌触りと、スープとの一体感が素晴らしい。

一般的な淡麗系のラーメンに近いのは、こちらの『醤油らーめん』の方である。まずこちらを食べて、のどぐろ出汁の風味をより感じてみたくなったら『だしらーめん』を食べてみるのが良いかもしれない。

ラーメンのスープには星の数ほどの個性的なバリエーションがあり、濃厚でクセになる味や複雑で個性的な味ももちろん好きなのですが、シンプルに素材を生かした味をじっくり味わって食べたくなる事も多い。
こういった素材そのものの味を美味しいと思える味覚をいつまでも持ち続けたいと思う。

今日も、ご馳走様でした。

※以下のお店情報は記事投稿日時点のものです。訪れる際には予め営業日時をお店にご確認ください。

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