口いっぱいに頬張ってもらいたくて――

築地の若き親方が握る逞しく、優しい鮨。「鮨 桂太」青山桂太さん

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築地の若き親方が握る逞しく、優しい鮨。「鮨 桂太」青山桂太さん

おいしんぐ!編集部

築地駅から徒歩5分。築地市場からも近い一角に、L字型カウンターを備えた鮨屋がある。2017年秋の開店からわずか1年でミシュランの一つ星を獲得した「鮨 桂太」だ。親方である青山桂太さんが修行を積んだ札幌の「鮨菜 和喜智」、銀座の「鮨 水谷」「鮨 太一」という名だたる店名もまた、鮨通たちを驚かせる。

青山さんは現在34歳。10代の頃に生まれ育った北海道から上京し、厳しい鮨の世界で経験を積み重ねてきた。32歳までに店を持つという目標を掲げながらも、予定より2年も早く独立が叶い、築地に店を構えることとなった。早朝から深夜まで魚と向き合う忙しい毎日の中でも、四季を感じ、訪れるお客さんとの会話を楽しめるこの仕事は充実していると語る。

青山さんが握る鮨は、ネタが大きい。ずっしりとした見た目で、食べ応えが十分にある逞しい鮨だ。そのネタと絶妙のバランスを取るシャリは強めでありながらも優しさを感じる。「口いっぱいになるおいしさって、あると思うんですよね」――笑顔で語ってくれる青山さんの鮨の原点。

修行時代に学んできたこと、築地という場所に店を構えた理由、そしていま大切にしていること……。いま勢いのある人気店の秘密を覗かせていただいた。

外観 おいしんぐ!編集部
地下鉄築地駅から徒歩5分。築地市場や築地本願寺にも近い一角にある「鮨 桂太」。


内観 おいしんぐ!編集部
内観 おいしんぐ!編集部

店内には8席からなるL字カウンターが。訪れるお客さん同士が仲良く話せる温かな雰囲気が生み出されている。

名店で修行しながら学んだ、鮨の基本

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時おり冗談で周囲を笑わせ、にこやかな表情が印象的な大将・青山桂太さん。

——まずは桂太さんがどのようにして鮨の道に進まれたのか、そこから教えてください。

青山:ぼくは北海道の出身で、おじいさんが漁師でした。地元で行きつけの鮨屋もあったし、親戚で集まるときには父親がお鮨を握ったりしていて、他の家より鮨に関わる機会が多かったというのはあります。

高校2年生で進路を考えたときに、最初は建築系もいいなと思っていたんですけど、結局選んだのが鮨でした。昔からシャリが好きだったというのもあるかもしれません(笑)。ご飯を食べて物足りなかったら、自分で鮨酢を使って酢飯を作って食べたりしていましたから。

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——高校を出てからは調理学校に進まれたのですか?

青山:はい、2年間調理の専門学校に行かせてもらいました。1年目はしっかり遊びましたけど、2年目からは将来鮨屋での就職も考えて、札幌の「鮨菜 和喜智(すしさい わきち)」でバイトを始めました。東京で修行をされた親方で、ぼくが就職のことで相談をしたら「東京にいいお店があるよ」と教えてくれたんです。それが銀座にあった「鮨 水谷」でした。

——「水谷」さんといえば、ミシュランガイドで9年連続の星を獲得し、2016年に閉店された有名なお店ですね。

青山:そのことを学校の先生に話したら、先生が「水谷」に電話をしてくれたんです。しかも、一度断わられたのにしつこく何回も電話してくれて(笑)。それで面接を受けることができました。「和喜智」の親方のところでバイトさせてもらえていなかったら、いま、ぼくがこうなることはなかったと思います。かなり貴重な出会いでしたね。

——鮨という厳しい世界に若くして飛び込んだ桂太さん。それだけの魅力を、鮨に感じておられたんですね。

青山:いえ、厳しい環境だとは思っていたものの、10代の頃は鮨のことなんてちゃんとわかっていませんでしたよ。東京に出てきて、「水谷」の親方のところで初めて鮨の世界を教えてもらった感じです。右も左もわからない状態から、魚の下処理や基本的なことを教えてもらいました。

例えば魚を店の中に運ぶときに汁が落ちて、それをみんなが踏んづけて歩いたら店の中じゅう魚の臭いが広がってくさくなるから、汁をこぼしたらすぐ拭くことだとか。臭いにはかなり厳しいお店だったので、勉強になりました。


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——その後はどうされたのですか?

青山:その頃はまだ、将来は地元でやりたいと思っていたんです。なので、一度札幌に帰って「和喜智」に就職させてもらいました。ただ、いまでこそ札幌も変わってきていると思いますけど、それまで毎日のように築地に行っていろんな魚の中から選ぶのが当たり前という環境にいたので、なかなか大変でした。

札幌だと魚種も少なくて揃わないですし、揃わないぶんを築地から航空便で取り寄せるんですけど、それも自分で選べない。「こんな魚しかなかったの?」っていう思いをしながらやらなきゃいけないストレスがありました。悪天候や大雪の日なんて、お客さんも来なければ、航空便で頼んだ魚も来ない。いつも昼過ぎに届くものが夕方に遅れたりして、開店に間に合わないんです。


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山口県産の大ぶりな車海老。

——築地と比べると、難しい環境だったのですね。

青山:札幌はのんびりしていて私生活を送るにはいいけれど、朝から晩まで仕事をすることを考えると、仕事の時間のほうが長いじゃないですか。だから仕事でストレスがたまらないほうがいいなと。それで、「和喜智」で丸3年働いた後、もう一回東京に出ることにしました。

——そのときは、おいくつでしたか?

青山:25~26歳でしたね。「水谷」の親方とお付き合いのあった「鮨 太一」に入れていただきました。「水谷」の仕事が終わった後に何度か食べに行かせてもらったことがあったんですが、2番手の人がキビキビと動いていて、それがすごくかっこよくて。

裏方がいっぱいいるお店に入っても全然仕事なんて回ってこないわけですし、ぼくは早くカウンターに入って「カウンター度胸」をつけたかった。2番手の人がキビキビ動いているお店で勉強させてもらえたらと思ったんです。


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——「太一」には何年いらっしゃったんですか?

青山:3年半ですね。あっという間でしたし、いろいろやらかして怒られましたよ(笑)。「太一」の親方のところで働いていなかったら、ぼくは生意気に勘違いしたままだっただろうし、こういうお店も持てていなかったなと思いますね。

——ご自分のお店を持ちたいという思いは、その頃からありましたか?

青山:32歳までに店を持ちたいという目標はありましたね。そのための貯金と仕上げというか、カウンター度胸をつけてお客さんの前に立ってもいちいち緊張しないで話せるようになろうと。この店をオープンしたのが30歳よりちょっと前だったので、結果的には2年ぐらい早まりました。「太一」にも若い子が入ってきて、あんまり長くぼくがいても邪魔になるし、若い子の成長にもならないだろうな、と思って。

 

お客さん同士が一緒に楽しめるL字カウンター

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——30歳という若さで築地のこの場所にお店を構えるのは、かなり大変だったのではないでしょうか。

青山:いい物件がたまたま見つかったんですよ。東銀座、築地、勝どき、月島、京橋といろいろ探していたんですけど、なかなかいい物件が出てこなくて。あるとき、たまたまぽつんと出てきたのがここだったんです。

ただでさえ北海道から出てきて心もとないのに、あまり知らない場所でお店を出すのはつらいし、せめて知っている場所がよかったんですよね。この辺りは、勝どきの寮から務め先の銀座まで毎日自転車で通っていたので、なじみもありました。若い頃からかわいがってくれたおでん屋さんも近くにあって。


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——思い入れのある場所だったんですね。

青山:昔は休みの日に散歩をしていると、人がひとり通れるか通れないかぐらいの狭い道がたくさんあったんですよ。そこを小さい女の子が手を引っ張って案内してくれたこともあって……あ、こんな風情のあるところなんだ。素敵だなっていう印象がありました。

——お店の雰囲気作りについては、どのように考えられましたか?

青山:お客さん同士が一緒に話す場になるので、L字カウンターにしたいなと思っていたんですよね。みんながひとつになるような空気感や雰囲気が好きなんです。お客さん同士で話してくれたらぼくも楽ちんですし。自分のしゃべりたいときだけしゃべって楽しい!みたいな(笑)。


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——こちらの壁に飾ってある額も、雰囲気作りの一環でしょうか?

青山:そこまで深い意味はないのですが、たまたまお客さんのひとりに書家の人がいて、作品を見せてもらったときにいいなと思って。実はうちの奥さん、名前が優子っていうんです。だからそこもいいなと思ったんですが、なんだかいつも奥さんに監視されているみたいで……(笑)。

——桂太さんの奥様である女将さんの存在も、お店の大きな魅力ですよね。

青山:いまは子育てに専念してもらっているのですが、ときどきお昼とかにお店に出てもらうこともあります。そのほうが常連さんも楽しそうにしてくれるので、ちょっと悔しいですけどね(笑)。

——ちなみに……女将さんとの出会いを教えていただけますか?

青山:「太一」の親方がお客さんみんなに「こいつに友だち紹介してやってくださいよ」って言ってくれていたんです。そのうち、お客さんの一人が本当に連れてきてくれたことがあって。その夜は予約もガッチリ入っていてすごく忙しかったのに、親方が「お前は飲みに行ってきていいよ」って。「いま抜けたらやばくないですか?」みたいな状態だったのに、行かせてくれたんです。そのときの飲み会で出会ったのが、うちの奥さんです。

 

お客さんに口いっぱい頬張ってもらいたくて

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——「太一」の親方の愛情を感じる、とても素敵なエピソードですね。いま、このお店で桂太さんが大切にされていることを教えてください。

青山:「口いっぱいになるおいしさ」って、あると思うんですよね。もごもごするおいしさ。車海老とかもちょっと大きめですけどひと口で食べてほしいですし、ウニやイクラも口いっぱいになってほしい。だから握りも大きくなりますし、ネタも大きめにしています。

小さくて上品な鮨を出されるお店もありますけど、個人的には「これをずっと食べ続けて、お腹いっぱいになるのかな」ってちょっと寂しく感じることもあって。それだったら、お客さんに口いっぱい頬張ってもらいたいなと。


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——なんといってもこの大きさ、そしてたくましい握りが桂太さんのお鮨の特徴ですね。

青山:最初はもっといろいろ、お酒に合わせた塩辛いおつまみも作っていたんです。でも、そうやってちびちびとお酒を飲んでしまうと「お腹いっぱいだからお鮨はいいや」っていう方もけっこういらっしゃって。そうなると、何だか自分のやりたいことと違うな、と。

例えば天ぷら屋さんに行って、刺し身が出てくることもありますけど、天ぷらが出てきたときには「わあ、天ぷらだ!」ってなるじゃないですか。ぼくはそういうのを大事にしたい。「お鮨、食べたなあ!」って思ってもらいたいんです。いまはその考え方で、つまみも軽いものにしています。

——シャリとのバランスもかなり意識されていらっしゃいますよね。

青山:ええ、うちはシャリもけっこう強いんです。そのシャリに薄いマグロが乗っても、シャリの味しかしないから、意識してネタを大きめに切ったりもしますね。淡白すぎてうちのシャリに合わないなと思う魚は使いませんし。シャリに負けないようなネタを作っていくことは意識しています。


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——桂太さんのお鮨は、お酒が進むような塩の効いたものでもありませんね。

青山:どっちかというと酢が強いですね。塩が効いているお鮨も、食べ始めは口当たりがよくてうまいなあって思うんですけど、食べ続けていくと疲れるんですよ。ぼくはそれがあまり得意じゃないので、そうならないように塩は調節していますね。

——オープンから4年経ちましたが、味の変化もありましたか?

青山:かなり変わっていますね。最初はもっと酢が立っていました。そこにドンピシャにはまるお客さんもいましたけど、反対に酸っぱすぎて無理という人もいましたし。

——最初の頃のほうが、パンチがあった印象です。

青山:若かったんです(笑)。いまはちょっと大人になって落ち着いてきたのかな。

 

「おいしいですよね」を共感したい

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メニューはおまかせのみで、昼11000円~、夜20000円~(いずれも税込)。

——魚選びについて、教えていただけますか?

青山:基本的に、あまりサイズはこだわりません。大きかろうが小さかろうが、切りつけの段階で調節できるので、それよりも内容のいい魚を選ぶようにしています。


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——桂太さんからみて、いい魚とは?

青山:最終的に食べないとわからない部分はあります。パッと見た感じはよさそうでも食べてみるとこんなものかというのもあるし、逆にすごくおいしいものもあるし。かなり個体差があるので難しいんですが、やっぱりいい魚をそろえられたときは仕事していても楽しいし、気持ちいいです。今日のマグロ(大間)も相当おいしかったですよね。


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シャリにずっしりと乗った姿が印象的な大間のマグロ。

——素晴らしくおいしかったです。

青山:いい魚が仕入れられて、それをお客さんに食べてもらえるときは「これおいしいですよね」を一緒に共感したいというか。上から「おいしいでしょ」「いいでしょ」って言うんじゃなくて、一緒に「これいいですよね」って言いたい。それは常日頃から思っていますね。

今日捌いたマグロ(塩竈)はまだちょっと若いので、もう少し置いてから出したい気持ちもあったんですが……だからこそ大事に使ってあげたいなと思います。

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——マグロを「大事に使ってあげたい」という言葉にも、桂太さんの優しさがあふれている気がします。では、今日握っていただいた他のお鮨についても教えてください。

青山:コハダは天草の、大きくて身がしっかりと力強いものを使っています。シンコ(稚魚)みたいに香りもあっておいしいものもありますけど、ぼくはやっぱり、大きくて力強いコハダをしっかりとしめて、間に強めに海老のおぼろをかませてあげて握るほうが好きですね。旨味で食べてもらうみたいなイメージですかね。


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身の力強さを感じる天草のコハダ。

青山:アナゴは、今日は対馬のもの。アナゴ屋さんに全信頼を置いてお願いしているんですが、アナゴはいまシーズンが始まって身の状態がかなりいいですね。


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対馬のアナゴ。肉厚で、口に含むと優しい甘みが広がる。

青山:そして、車海老は山口です。小さいのはあまり好きじゃないので、サイズも大きめで海老屋さんにお願いしていますね。うちは最近は養殖を使っているんです。天然ものは色はきれいなんですけど、ものによっては砂を噛んでいたり土っぽい感じのものもあったりするので。この2~3年でも養殖の技術が本当に上がっていて、味噌も入っているし、身が良くて甘みもあって色も落ちない。本当においしくなっているんです。

おいしんぐ!編集部

——日本酒の選び方についてはいかがでしょうか?

青山:個人的には、余韻が長くてずっと口の中に残っているようなものが苦手なんです。お酒だけを楽しむんだったらいいんでしょうけれど、食事をしながらのときは、次の食事に箸が進まなくなるなというのが、僕自身の経験としてあるので。だからこそ香りがあっても、口の中で最後に切れてくれるお酒を意識して選んでいますね。

——メニューを見ていると、お酒が好きな親方が選んでいるような印象を受けます。

青山:ぼくもやっぱり日本酒が好きなので、少し酸味があるほうが食が進むな、途中で口がたるくなってきたら辛口のお酒を飲みたいな、最初だったら華やかなものを飲んでも楽しいな……っていう感じで揃えるようにしていますね。

いまはお酒を出せない時期で、いろいろと難しいですね。確かに控えるのは大事かもしれないけど、お酒だけが悪者みたいに言われてしまうのが残念です。せっかくおいしいお酒を作ってくださっている人たちがいるのに、それを提供できないのは寂しいなって思ってしまいますね。


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日本酒を愛する桂太さん自身がセレクトした、鮨をおいしく食べるための酒が揃っている。

 

「常に考え続ける」という楽しさがある

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——これからは、どんなお店にしていきたいですか?

青山:お鮨もだんだんと金額が高くなってきているのは確かなんですけど、あんまり緊張したり気合いを入れて来るようなお店ではなくて、ふつうの食事の一環として選んでもらえるようなお店にしていきたいですね。季節ごとでも、2ヶ月に一度でも、なるべく気軽に来てもらいたいなと。

——いまはお鮨の値段も上がってきて「鮨バブル」という言葉に聞かれますね。

青山:半年先まで予約が取れないお店もいっぱいありますけど、ぼくとしては半年待たせてしまうにはプレッシャーになるので(笑)。1週間ぐらいだったら、そこまで気負いせずにできますよね。


おいしんぐ!編集部
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——桂太さんといえば、オープンからわずか1年でミシュランの星を獲り、話題にもなりました。

青山:そうですね。でも、ミシュランはいただきましたが、それがあろうがなかろうが、やることは変わらないですね。ぜんぜん気にしていないですし、お客さんが楽しく食事されているなら、それだけでいいなと思っています。


おいしんぐ!編集部
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——鮨作りを日々続けていく面白さは、どんなところにありますか?

青山:一見、毎日同じような作業に見えるかもしれないんですけど、魚は四季折々で市場に入ってくるものが変わるんですよ。毎年同じ仕込みをする魚もあるし、今年はこうやってみようか、ああやってみようか、と変えるものもあります。さらに自分の好みも変わるので、常にいろいろ考える楽しさがありますね。

お客さんもいろんな方が来てくださいます。カウンターに常連さんが揃ったときの楽しさもありますし、新しいお客さんとお話したらとても面白い方だったということも。だから楽しい仕事だし、飽きない仕事だなと思いますね。


おいしんぐ!編集部
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——この仕事、好きですか?

青山:はい。朝から晩まで時間も長くてしんどいなとは思いますが、やりがいのある仕事なので、つまらないなと思ったことはないですね。家に帰ってからもつい魚のことを考えてしまって、寝るのが朝方になるので眠いんですけど(笑)。

 

では、最後に…。
桂太さんにとって「おいしい」とは何でしょうか——?

おいしんぐ!編集部

青山:例えばお二人で来られて楽しい食事をされている人もいれば、お一人で来られてぼくとお話しして楽しむ人もいれば、食事に集中しながら咀嚼を楽しむ人もいて……と、いろんな人がいると思います。ぼくたちが「おいしいね」「うまいね」っていうものを作るのは当たり前のこととして、そのひとりやふたりの食事の「おいしいのお手伝い」ができればいいなって思っています。

 
企画・構成/金沢大基 文/古俣千尋 写真/曽我 美芽

 

おいしんぐ!YouTubeチャンネルのインタビュー動画

おいしんぐ!のYouTubeチャンネルでは、青山桂太さんのインタビュー動画を見ることができます。
お店の雰囲気や料理、青山桂太さんが気になる方はチェックしてみてください。

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