うどん旅に出掛けよう。島根石見編

島根県益田市発祥「うどん」の謎を紐解く旅<前編>

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島根県益田市発祥「うどん」の謎を紐解く旅<前編>

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「島根県西部の益田市にちょっと変わったうどん文化がある」という情報を聞きつけ調査に向かった我々タベアルキスト。実際に食べてみたところ、ちょっとどころじゃない、唯一無二のうどんだと確信。埋もれていたご当地グルメが発掘される、まさにその瞬間だ。そして、そこには町に根付くまでの人とうどんが紡ぐ壮大なヒストリーがあった。本稿はその一部始終をまとめたものである。

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どうみても、さぬきうどんじゃない

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まず我々が向かったのは、島根県益田市の駅からほど近い、「うどんの萬栄(まんえい)」。創業40年ほどになる、地元密着型のうどん屋である。現在は2代目の広瀬夫妻がお店を営んでいる。早速うどんをいただいてみることにした。
 

最大の特徴は「麺」にある

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運ばれてきたうどんは、見た目からして非常に個性的。肉、お揚げ、ネギ、鳴門、そして生卵。これに卓上に配された揚げ玉をお好みでトッピングしていただくスタイルだ。出汁はやや甘口で、肉から出た脂でコクの加わった、しっかりめの関東風仕立て。すき焼き風の肉玉うどん+お揚げといった出で立ちである。

最大の特徴は、やはり麺。ウェーブのかかった、幅広で薄めの麺は他に類を見ない独特の食感。コシはあるのだが、讃岐うどんのようなエッジの立ったツルッとした感じではなく、もう少し角の取れた、もっちりとした粘りコシで、柔らかさが印象的。ほろほろのお肉と、厚めのお揚げがしっかり含んだ味を、しなやかな麵が受け止める非常に美味しい一杯だ。

独特の麺を存分に味わえる「釜揚げうどん」

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この独特の麺を存分に味わうなら、釜揚げうどんがおすすめ。独特の食感と麺の味わいをストレートに味わうことができる。このようなうどんが、益田市~浜田市にかけて何店か見られるのだが、店舗名は全て異なり、そこの背景や関連性は分からない。今回の旅で、その謎の一端でも解明できれば良いのだが…
 

これがさぬきうどん? その秘密は…

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これだけ個性的なうどんを提供しながら、店外の表記は「さぬきうどん」である。いや、どう見てもさぬきじゃない!?…。というツッコミはさておき、独特の麺を生み出す背景を教えていただくことにした。

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まずは生地。1バットあたり9kgほどを仕込み、丸1日寝かせてから仕上げる。生地をこねる際に、「うどんの素」という秘伝の液体を加えるのだが、中身は秘中の秘。初代のみしか知らず、現在も「うどんの素」だけは初代から仕入れているとのこと。粉の配合については、もともと初代から引き継がれたレシピがあるが、現在は息子さんが独自に改良を加えているという。

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続いて製麺。他に類を見ない独特の製麺機は、麺を伸ばすローラー部と、カットを行う刃の部分で構成された電動式。似たような構造の手回し型の製麺機は、以前に見たことがあるのだが、電動式は初めてだ。

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3つのギアが印象的な正面図。スイッチを入れると、ガラガラガラ…という小気味良いビートを刻みながら機械が動き始めた。ローラー部で一度麺を伸ばし、再度ローラー部に通した後、そのまま刃の部分へと生地が落ち、カットされる。

これが独特の麺を生み出す「うどんの萬栄」の麺の背景だ。

うどんの萬栄

 

後編につづく。

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