日本で味わうイタリアの食卓 Vol.4〜ヴェネト州〜

ヴェネト州の本格的な郷土料理に舌鼓!神楽坂の「リストランテ ステファノ」

この逸品
東京都
神楽坂・江戸川橋・飯田橋
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イタリア料理
東京イタリア料理
東京メトロ東西線
牛込神楽坂駅
ヴェネト州の本格的な郷土料理に舌鼓!神楽坂の「リストランテ ステファノ」

著者撮影

タベアルキスト 権恩実(Eunsil Kwon)による、イタリア各州の食文化や魅力。そして、その州の郷土料理が味わえる面白いレストラン、マニアックなレストランなどを紹介しているコラム「日本で味わうイタリアの食卓」

前回は、中部イタリアのアブルッツォ州、アブルッツォの郷土料理についてご紹介しました。

今回は、更に北に移動しマルケ州とエミリア・ロマーニャ州を通り越してヴェネト州に行ってみましょう。

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イタリア北東部に位置しているヴェネト州

イタリア北東部に位置しているヴェネト州は美しき「水の都」で有名な州都ヴェネチアとシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台として知られているヴェローナで日本でも馴染み深い州の中の一つです。

7世紀、小さな島が集まって誕生したヴェネチアが徐々に勢力を拡大して、巨大な共和国になり、1797年まで1000年以上の間にわたり、歴史上最も長く続いた共和国になりました。

ヴェネチアという栄華を極めたヴェネチア共和国の歴史・文化の影響が強く残る食文化があります。

 
 

日本人にとってのお米のような存在「ポレンタ」

この土地では、アドリア海でとれる豊富で新鮮な海産物を生かした郷土料理が食べられていて、内陸部ではハムやサラミなどの肉製品の製造はもちろん多様な肉類が調理され、広大で肥沃な平野では各季節を通じた農産物やラディッキオ・トレヴィーゾのような高級な野菜作りも盛んに行われています。

また、主食として粗挽きのトウモロコシ(Maize)の粉を、沸騰したお湯に塩を入れて練り混ぜた「ポレンタ」などがよく食べられていて、魚料理や野鳥料理に添えられることが多いです。

 

国内ワイン生産量トップクラスの産地であるヴェネト州

イタリアのワイン生産量において国内でトップクラスの生産地です。

白は爽やかでドライな口当たりの発泡ワインのプロセッコ(Prosecco)や口当たりの良さで大人気の白ワインのソアヴェ(Soave)が代表的。


ヴァルポリチェッラ 著者撮影

赤はヴァルポリチェッラ(Valpolicella)や、更に収穫後数ヶ月をかけて影干ししたブドウを使うアマローネ(Amarone)などが有名です。

イタリアで第2位のDOCG、DOCのワイン数を誇る高品質なワインを多く産出しています。また、ワインの醸造の際に余ったブドウの皮などを使った蒸留酒、グラッパ(Grappa)もよく知られています。

 

ヴェネトのマンマの料理を楽しめる「リストランテ ステファノ」

ヴェネチア料理を中心としたヴェネト州の本格的な郷土料理がいただけるお店といえば「リストランテ ステファノ」。東西線神楽坂駅の一番出口より徒歩1分という好立地にあり、お店の入り口にはヴェネチアの旗が掛けられて、すでにヴェネト感満載です。

著者撮影

著者撮影

店内はこじんまりとした木の温もりが感じられる温かい雰囲気。初めてこちらに訪問した時、「わー、めちゃ心地良いー!」と騒いだことを思い出します。まさに居るだけで落ち着く空間だと思いました。

いつも温かく迎えてくださるのはオーナーシェフのステファノ・ファストロ(Stefano Fastro)氏です。


オーナーシェフのステファノ・ファストロ氏 著者撮影

ステファノ氏はヴェネト州のヴァルドッビアーデネ(Valdobbiadene)というプロセッコで有名な地域に生まれ、実家では野菜を自家栽培し、ワインやグラッパも自家製で造っている自然豊かな環境で育ちました。1999年9月、28歳で来日し、4年間イタリア人経営レストランで料理長を勤め、その後2004年2月神楽坂に「温かく、心地よく、親しみのある雰囲気と共に手作りにこだわった本格的なお料理を提供したい」をモットーに「リストランテ ステファノ」をオープンしました。

営業中はステファノ氏が直接サービスをされていて、気さくなイタリア人シェフが日本語で丁寧に説明してくれる場面はとても印象に残ります。その人柄が感じられる温かいサービスと温かい声かけが本当に本当に大好きでいつもホッとしちゃいます。

その気持ちがこもったお料理はどんなものでしょう。


グリッシーニ 黒ごま 著者撮影

メニューはアラカルトはもちろんコースでの注文も可能で、ヴェネト州の郷土料理を中心に北イタリアのお料理がいただけます。

今回いただいたのはヴェネチア・コース(6,500円)。その一部をご紹介します。


ヴェネチア風 前菜盛り合わせ 著者撮影

日替わりでいただくヴェネチアの前菜の盛り合わせ。この日は4種類の前菜をいただきました。

・ヴェネチア風干し鱈のムース(ストッカフィッソ)
ガッチガッチのノルウェー産干し鱈を一ヶ月以上お水に戻して作ったもので、柔らかいムースを口の中に入れた瞬間、干し鱈の風味が口いっぱいに広がりました。魚の臭みがなく、旨味だけ残したかのような味わいです。

・鯖のサオール(野菜や魚を揚げてからマリネする料理)
玉ねぎとビネガーでマリネしていてレーズンがアクセントになります。

・ハーニーローストポーク
様々はスパイスとハーブでマリネしてローストし、蜂蜜で仕上げています。

・ヴェネチア風 サーモンのマリネ
3日間にかけてマリネしており、1日目はお塩、お砂糖、スパイス、2日目はプロセッコ、レモン、サンブーカ、3日目はエキストラヴァージンオリーブオイルとフレッシュなハーブでマリネする複雑な工程でした。

雑味がなく噛めば噛むほど色々な味を楽しめます。付け合せのポレンタと一緒にいただくと更に美味しいです。


ヴェネチア伝統 グリンピースのゆるめなリゾット(リージエビージ) 著者撮影

イタリア産カルナローリ米、グリーンピース、玉ねぎ、バター、グラナチーズ、野菜の出しを使ったお料理で、半分のグリーンピースをピューレ状にして鮮やかな色を出しています。

イタリアの春の訪れを感じる料理といえばリージエビージですが、ヴェネツィアを中心とした郷土料理で春の祝いのリゾットとして振舞われた歴史のあるリゾットです。コクがあり、濃厚だけど優しい味わいのリゾットでした。


自家製そば粉ビゴリ アンチョビと玉ねぎソース
 著者撮影

ビゴリとはそば粉と小麦粉を使ってもちもち食感と強いコシが特徴のヴェネト州を代表する太めのロングパスタです。


トルッキオ 著者撮影

トルッキオというパスタを絞り出す器具を使い、強烈な圧力をかけて押し出され、 その表面は太くザラザラしておりソースがよく絡みます。アンチョビと白ワインと玉ねぎのシンプルなソースがパスタの美味しさを一層引き立ててくれます。赤ワインでソテーした赤玉ねぎがアクセントになりました。




牛レバーと玉ねぎソテー白ワインソース 著者撮影

ヴェネチアを代表する肉料理。甘みを感じる和牛のレバーと玉ねぎを薄切りにしサッとソテーしたものです。

舌に馴染む味わいで雑味がなく軽い口当たりであっさりいただけます。レバー好きにはたまらない一皿ですね。


ステファノ ティラミスとアフォガートのセット 著者撮影

イタリアを代表するドルチェとして有名な「ティラミス(Tiramisù)」。
実はイタリア国内での発祥地についは諸説ありますが、一般的には1960年代頃にヴェネト州トレヴィーゾにある小さなレストラン 「アッレ・ベッケリーエ(Alle Beccherie)」 で考案されたドルチェといわれています。ここステファノではオーダーしてから作るフレッシュな自家製ティラミスとアッフォガートの盛り合わせがいただけます。

 
お料理が出るだひに「Grazie!」「ありがとう!」「召し上がれ!」と笑顔で優しく声をかけてくれるステファノ氏の温かさが伝わり、食べる人の気持ちを高揚させてくれます。

大事な家族や友達とひと時を過ごしたいステキなレストラン。この場所にいるだけで癒される不思議な空間です。信じられない方がいたらまずは行ってみてください!
 

※お店の情報は記事投稿日時点のものです。訪れる際には予め営業日時をお店にご確認ください。

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