全員醸造、全員営業で「街の元気のシンボルになりたい」

個性あふれる6人が挑む“ワンチーム”の地酒造り。 川鶴酒造 六代目蔵元・川人裕一郎さん

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個性あふれる6人が挑む“ワンチーム”の地酒造り。 川鶴酒造 六代目蔵元・川人裕一郎さん

おいしんぐ!編集部

「香川県の日本酒」と聞いて、どんな酒を思い浮かべるだろうか。上質な米と豊かな水を活かした酒造りは、以前は香川でも盛んに行われており、県内のあちこちに酒蔵があった。しかし瀬戸大橋の架橋後、県外から入り込んでくる大手の酒に押され一軒一軒とその姿を消していった。現在香川に残っている蔵元はわずかに6軒だ。

県内西部に位置し「銭形砂絵」などの観光地で知られる観音寺市。市内を東西に流れる清流・財田川の麓で1891年から酒造りを続けているのが、創業130年を迎える川鶴酒造だ。蔵元兼代表取締役として川鶴をまとめ、みずから日本酒造りに精を出している六代目の川人裕一郎さんのもとを訪れた。

春先とはいえ、まだ朝晩は冷え込む3月中旬。取材開始時刻は朝7時50分だったが、川人さんたちの醸造の準備はその2時間も前からスタートしている。「これからみんなでお米を蒸して、冷まして、発酵室に入れるところまでやりますよ」と、さっそく酒造りが始まった。

「いまの川鶴では全員が全工程に関わり、チームとして全員の力を合わせて酒造りをしています。みんな個性的でおもしろいスタッフばかりなんですよ」と川人さん。見渡せばたしかに、蔵の中には時おり笑い声も響き、チーム皆が和気あいあいとした雰囲気で仕事を進めている。

個性あふれるメンバーが息を合わせ、力を合わせ、時には意見をぶつけ合わせながら、おいしい日本酒を作り、香川から外へと発信していく――。まるで世界と戦うスポーツチームのように、“ワンチーム”体制で日本酒造りとその発信に挑む、川鶴ならではの酒造りをお届けしたい。

外観 おいしんぐ!編集部


外観 おいしんぐ!編集部
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蔵名「川鶴」は、蔵の裏に流れる清流・財田川に鶴が舞い降りた姿を夢間に見たことから、初代蔵元が命名。現在も財田川の伏流水を仕込み水として、おいしい酒造りに活かしている。

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香川の地酒が激減した理由

六代目蔵元・川人裕一郎さん: おいしんぐ!編集部

——酒造りの現場を見せていただき、ありがとうございます。みなさんが上下関係なくフラットに、そして楽しそうに仕事をしている姿が印象的でした。

川人:川鶴はいま、体制を一新し、古き体質から脱却すべく新しい体制へと移行している最中ですが、基本的になんでも情報共有できる風通しのいい社風にしたいとの思いがあり、全員醸造・全員営業のスタイルを意識していますね。

——歴史ある酒造を、新しいかたちで盛り上げていらっしゃるんですね。

川人:いやいや、ぼくらもただ必死なんですよ。そうせざるを得ないと言いますか…。いま香川の日本酒は6社しかないんです。30年前はまだ20社ほどあったんですが、それも一気に減ってしまって。いまは金陵さん、綾菊さん、丸尾さん、勇心さん、小豆島酒造さんとうちだけです。


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洗米。機械に米を約1分半入れて洗い、その後1分間シャワーを当て糠を落とす。細かい気泡で洗うことによって、手で洗うよりも鮮度を保つことができる。

——減ってしまった理由は、なにかあるのでしょうか?

川人:これはぼくの勝手な想像ですが、1990年代から規制緩和が進み、それまで酒屋さんでしか買えなかったお酒がスーパーで買えるようになりました。香川はこんな小さな県なのに、大型店舗が一時期かなり増えて、街の酒屋さんがだんだんと減ってしまったんです。さらに瀬戸大橋が開通して物流がよくなり、関西をはじめとする県外酒が台頭してきたわけです。

——物流がよくなった反面、押されてしまったのですね。

川人:ええ。香川の中でも関西に近い東側から、どんどん酒造が廃業を余儀なくされていきました。うちは香川で一番西にあるんですよ。西は地理的にもちょっと閉鎖的なところがあるのでしょうか、地酒を愛してくれる人も多いんですね。琴平にある金陵さんが壁になって守ってくれているところもあるかもしれませんね(笑)。

寂しいですけど、香川最大の高松には地酒がひとつもないんです。たとえば高知に行ったら、地酒しかありませんよ。なぜなんだろうと考えたのですが、高知は四国山地に囲まれていて昔から物流面が比較的に弱く、なかなか県外のものが入ってこない。だからこそ「わが町のお酒がいちばん」という地元を愛する県民性になっているのではないでしょうか。

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——地形的なことも関係していそうですね。

川人:地酒のシェア率というデータがあるんですが、香川の地酒占有率はいま20%強と言われています。高知は80%以上ですよ。ぼくらも高知に売りに行ったりしますけど、なかなか相手にしてもらえませんから(笑)。


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浸漬。水温や米質を見きわめながら、米に水を浸透させる。吸水は時間との勝負。ストップウォッチを片手に、数秒単位の調整をする。

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全国から集った次世代の蔵元たちとの出会い

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——川人さんはいま、社長を務められて何年目ですか?

川人:なんちゃって六代目ですよ。父から継いだのが35歳で、いま52歳なので17年目ですね。

——川鶴酒造を継ぐことになった経緯を教えていただけますか?

川人:学生時代、父から家を継げといわれたことは一度もありませんでした。ぼくは酒蔵に生まれたのが嫌で嫌で、早くここを出て東京に行きたかった。でも、気づいたら大学は東京農大の醸造学科を選んでしまい……(笑)。

きょうだいの中では男がぼく一人なので、心のどこかでは将来自分が継ぐんだろうなとは思っていたんでしょうね。でも、とにかく一度逃げ出したくて。それでしばらくは好きにやらせてもらって、28歳で帰ってきました。

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蒸し。洗った米を大型の甑(こしき)に入れて蒸す。一度に400kgもの米を蒸すことができる。


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——大学を卒業後は何をされていたんですか?

川人:日本酒をどうせやるんだったら違うことをやろうと思って、ビール会社に就職しました。ビールを造ってみたかったんですよ。

——なんと、ビール会社に!?

川人:はい、アサヒビールさんです。ちょうどスーパードライが出て大ヒットしてすぐの年に入社させていただいたんですよ。ビール造りの経験がしたかったのですが、気づけば営業として広島支社に行ってこいと言われまして…。当時キリンビールさんの牙城でもあった市場で、心身ともに思いっきり鍛えられました(笑)。

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蒸し米堀り。蒸し上がった米を、スコップを使って丁寧に掘り出していく。甘い香りが立ちこめる。

——酒蔵の息子さんがビール会社で営業とは、いい経験になったでしょうね。

川人:社会の厳しさを知りましたし、精神的にも鍛えてもらった貴重な時間でした。でもビールを造る経験すらできていないし、このままでは帰れないなと。国の研究機関でもある醸造試験場で2年間お世話になりました。寮生活だったのですが、ここで全国の酒蔵のご子息さんたちと出会い、境遇が同じで似たような悩みを持つ者同士で良くなれたのはよかったです。

この期間に得たものがいまのぼくの財産であり、横のつながりの根本になっています。いまも全国にいる彼らの成功に刺激をもらっているし、こうした横のつながりによって日本酒業界が活性化されているんですよね。ぼくらより若い世代の蔵元さんたちもがんばっていますし、日本酒の将来は明るいなと感じますね。

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放冷。スコップで掘り出した米を、放冷機に入れて外気と同じ温度まで下げる。このとき水分が飛び、米も硬くなっている。

 

造る人が、楽しい気持ちでいなければ

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——川鶴に戻られてからは、どんなことを?

川人:28歳で戻って、「川鶴は技術的にも酒質的にも変わらなければ」と痛感しました。自社のお酒が、個人的ではあるが心に響いてこない。バブル期に売れていた頃の酒から変われていない。…そこからですよ、父と何を話しても合わなくなって。

——お父さまは杜氏もなさっていたんですか?

川人:いえ、父は酒造りは杜氏にまかせ、経営だけでした。たぶん父も、変わらなければ状況は好転しないことはわかっていたんでしょうね。ぼくが35歳のとき、いきなり「もう辞めるから、お前が社長をやれ」と言われたんです。会長職にも着かず、さっと引いたんですね。


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発酵。麹と水の入った仕込みタンク内に蒸した米を移し、櫂で混ぜながら温度を均一に保つ。

——若くしていきなり社長に?

川人:ええ。まだ35歳でしたし、その当時は社員もたくさんいましたし、こんな若造の言うことなんて最初は誰も聞いてくれなかったですよ。反対意見も聞こえてきましたが、それでも「変わらないと先がないんだ」と言い続けました(笑)。

——大変だったでしょうね。

川人:意見が合わずに辞めてしまった人もいました。いま、社員は十数人ですが、もう一回このメンバーで再スタートしようという意識で、蔵の改革をいろいろと考えています。


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——現在のように、チームで協力して造るスタイルに変わったのはいつからですか?

川人:5年前までは長い間続いた杜氏体制での酒造りを続けていましたが、その体制を廃止してからですね。トップダウンではなく、みんなが平等に意見を出し合えるチームを目指して、これから新しいスタンスで酒造りをやろうと。実際、いまのスタンスがみんなやりやすかったみたいです。


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発酵(もろみ)。仕込みタンクの中で1ヶ月弱の間じっくりと低温発酵させる。発酵したものが「もろみ」となる。
その後、醸搾。もろみタンクに圧力をかけて搾り、日本酒と酒粕を分ける。圧力をかけすぎると濁り、反対に圧力が足りないと酒が出てこないため、難しい工程のひとつ。この後瓶詰め、ラベル貼りの工程へ。


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——先ほどもおっしゃっていましたが、上下関係なく楽しい職場というのを、川人さんはかなり意識されていますよね。

川人:どよーんとした蔵で造ったら、どよーんとした味になるんですよ。ぼくらは飲んでパッと明るく幸せになれる酒を造りたいんです。そのためには、造っている人間が楽しい気持ちでいないと。

もちろん意見のぶつかり合いもあるし、たまにはケンカだってしますよ。でも、チームで力を合わせて「おれたちで四国を獲ろうぜ!」ってがんばってきました。そして去年、四国清酒鑑評会で1位を獲れたんです。非公式なんですけど(笑)。昔は杜氏さんに全国新酒鑑評会で金賞をたくさん受賞してもらっていたのですが、ぼくたちの力だけで獲得したものはまた別格でした。やっぱり四国の他の3県には負けたくないじゃないですか。うれしかったですね。

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「酒造りは米作り」の言葉に込めた思い

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——川鶴のミッションとして「酒造りは米作り」をかかげていますね。

川人:はい。父から継いだ当初は、蔵の中で原料米の育成や酒米の特性などについて議論することがほとんどありませんでした。これじゃおいしい酒はできんやろ、と。そこから少しずつ、ぼくらも米作りのことを勉強したり、地元の農家さんとの関係を築いていきました。

蔵の隣りの田んぼを使って、社員全員で田植え、草刈り、収穫までの米作りを行っています。もう20年以上経ちましたが、地元の農家さんたちもぼくらのことを見てくれるわけです。「それだったら川鶴のために山田錦の米、作ったるわ」と言ってくれたのが、いまの契約農家さんです。

やっぱり、人がすべてですよね。お米を作ってくれている農家さんの苦労や生産者の方のことを知らないと、本当の意味でおいしいお酒は造れません。人の思い、地元の気候、風土、食文化…すべてがそろってこそ、地のものを造れるんだなと。

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さまざまな器具が並んだ研究室。できた酒の日本酒度、アルコール分、酸度、アミノ酸度などをここで分析している。

——すばらしい行動とお考えですね。

川人:いま川鶴では讃岐産米「オオセト」、讃岐田野々地区の契約栽培米「山田錦」、オオセトと山田錦を交配してつくられた、讃岐酒米「さぬきよいまい」という地元の米を中心に使っています。一部は、とても品質の良い岡山県のまめ農園さんが丹精込めて作ってくれている特別栽培米の雄町や兵庫県産の山田錦なども使っているのですが、今後も地元産に特化していきたいと思っています。

フランスに「テロワール」という言葉がありますが、たとえばワインの醸造所には、すぐ裏手にブドウ畑があったりしますよね。それと同じで、地元の風土で育った米で作ってこそ、地酒を造る意味があると思うんです。だからこそ、「酒造りは米作り」なんです。

——川鶴のお酒の、味の特徴を教えていただけますか?

川人:全体的なところでいうと、芳醇・うま口。米のうまみをしっかり出して、爽やかなのどごしです。それから酒と食事とのバランスが50:50であることも意識しています。讃岐の風土に寄り添い、食の宝庫といわれる瀬戸内の魚介類と合うような酒造りを心がけていますね。

じゃあそれってどんな味なのか。たぶん、答えはないんですよ。それは歴史が積み重なる上で、その時代時代の人が決めるわけですから。過去に川鶴が100年造り続けたお酒を好んで飲んでくれた人がいるから、いまがあるわけで。味の嗜好は時代によってどんどん変わるでしょう。だからうちもどんどん変わらなければいけないと思っています。

おいしんぐ!編集部

——これからのビジョンを教えてください。

川人:川鶴の存在意義として、米作りの部分で地元の農業を元気にする手伝いができればいいなと思っています。農家さんに酒米を作ってもらうことによって農業が発展し街が活性化していきます。「街の元気」のシンボルでありたいんですよ。うちのお酒を通してうちの社員はもちろん、農家さんや街の人の食生活が潤って、みんなが幸せになっていくのが目標ですね。

ぼくらは川鶴を、というより香川を、観音寺を盛り上げたいんです。もっと地元の人に愛され、飲んでもらうにはどうすればいいのか。そして県外や海外にもっともっと知ってもらうためには何が必要か。それをいまみんなで考えています。


おいしんぐ!編集部
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発酵中のオリーブ酵母もろみ。マスカットのような爽やかな香りが特徴。

——香川県の酵母「オリーブ酵母」を使った日本酒も造られていますね。どんないきさつでスタートしたんですか?

川人:もともと四国の中で香川だけ、県独自の酵母がなかったんですよ。ぼくらは5年以上前から、なにか個性になるものがほしいよねと県内の蔵元同士で話をしていたんです。じゃあ、どんな酵母があったらいいのかとみんなで意見を出し合って、やっぱり一番わかりやすいのはオリーブ酵母だなと。

そこからぼくらが酒造組合として県と話をし、小豆島の発酵研究所に協力を依頼し、日本酒に適した酵母の開発に着手しました。そして去年からオリーブ酵母を使った日本酒造りがスタートできました。これでひとつのステップを踏めたかなと。

——香川県の新たな名産品として、今後の展開が楽しみですね。

川人:今日もまさにオリーブ酵母の酒を醸造中です。今年はかなり特徴を出したものに仕上げていこうぜ、とみんなで話していますよ。もしもどこかで見かけたら、ぜひ味をチェックしてほしいです。


おいしんぐ!編集部
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川鶴の日本酒は観音寺を中心に香川県内で販売するほか、地元の人気店である「あみ屋」や「郷屋敷」などで楽しめる。

 

川鶴の核となる6人の蔵人たち

最後の質問に移る前に、ここで川鶴酒造が誇る6人を紹介したい。「全員醸造・全員営業」のスタイルながらも、ひとりひとりの強みを活かした担当もある。酒造りの期間、常時動いているこの6人のほか、人手が足りないときには営業スタッフらにも力を借りている。

合田博さん おいしんぐ!編集部

日本酒造りの核となる酒母担当、合田博さん。この道40年以上のベテランで、麹と酵母を操るテクニシャン。日本酒造りの面白さは「毎回、同じにならない」ということ。外気や米の状態によって微妙に変化する状態を見極め、細かな調整を加えていく。「同じことをやるのは面白くないですから。毎回違うからこそ、毎日が新鮮です」

羽豆薫さん おいしんぐ!編集部

麹担当、羽豆薫さん。2年前までは岐阜県の三千櫻(みちざくら)で酒造り経験を積んだ。いつもにこやかで、豪快な笑い声で職場を和ませる。優しいけれど仕事には厳しい職人肌。この日は山田錦の50%の新米を使い、羽豆さんがプロデュースする大吟醸を造っていた。

島津平朗さん おいしんぐ!編集部

洗米担当、営業担当の島津平朗さん。入社5年目の若手ながら海外出張も任される。IT企業でマーケティングの仕事をしていた前職の経験を活かし、酒造りに斬新な発想を加えたり、先読みをしながらチームを動かしていくような活躍も。「酒造りって、思い通りにいくことばかりじゃない。予期せぬトラブルが起こる度、それを解決していく面白さがあると思います」

深澤正彦さん おいしんぐ!編集部

上槽担当、深澤正彦さん。社歴30年。これまで営業ひと筋だったが、5年前から醸造チームに配属。みんなに「強面に見えるが以外と優しい」「こう見えていじられ役」と言われる愛されキャラ。「家族よりも一緒に過ごす時間が長いから、思いやりやコミュニケーションが大事ですよね。職場の雰囲気が暗いか明るいかは、酒の味にも影響すると思いますから」

宮崎皓平さん おいしんぐ!編集部

データ分析担当、宮崎皓平さん。できた酒の日本酒度、アルコール分、酸度、アミノ酸度などを計測し分析する。農学部の学生時代、飲み歩きをしていて日本酒と出会い、休学して石川県の酒蔵でアルバイトを始めた。その後、酒蔵を点々とし現在は4蔵目。「毎日お酒の状態を確認できるのは嬉しい特権ですね(笑)」

川人裕一郎さん おいしんぐ!編集部

6代目の蔵元、川人裕一郎さん。全般的な仕込み計画や発酵管理、追廻担当、取り締まられ役社長業で責任者。大きな機械を動かし、大量の水を使う米造りでは、後片付けの工程が時間も労力もかかる大仕事。「10月頃から春にかけては、150日間連続で醸造しています。ひと冬で体重が8キロも落ちるんですよ(笑)。でもこれからは時代に合った労務管理が急務ですね」

 

では、最後に…。
川鶴が考える「おいしい」とは——?

おいしんぐ!編集部
六代目蔵元・川人裕一郎さんと、斬新な発想で酒造りに貢献する島津平朗さん。

島津:飲んでもらって、四国の風景が見える、瀬戸内の景色が見える。それがおいしいかなと思っています。

川人:うわ、かっこいいな。お前がそんなん言うとめちゃハードルが上がるやないか(笑)。ぼくが個人的に思うのは「心に入り込んでくる味」。食べるものの背景…たとえば「この人がこんな思いで作った」という背景を知ることで、そのストーリーが心に入り込んで、おいしく感じるときがありますよね。また、自分自信の味覚で「あ、おいしい!」と気になったものは、その味自体が心に入り込んできたってことなんでしょうね。そういう、人の心に入り込む酒を、これからも作っていけたらと思います。

企画・構成/金沢大基 文/古俣千尋 写真/曽我 美芽

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