ときめきのポテサラ Vol.3

じゃが芋の品種をご紹介!王と女王と称される2品の特徴とは

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タベアルキスト・鞠谷紀士によるコラム『ときめきのポテサラ』。前回はマーケティング技術を用いてポテサラをグループ分けしてみるコラムでした。

その際用いた評価軸の1つが「じゃが芋の主張」です。今回はこの要素を大きく左右する「じゃが芋の品種」について、じゃが芋の王と女王と称される2品種をご紹介したいと思います。

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じゃが芋の品種は現在作られていないものや、普段スーパーには並ばないものも含めたら、その数実に200種類以上です。

じゃが芋の王 男爵


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コラムを書くにあたって用意したのは、冷蔵庫で貯蔵しておいた静岡県の三方ヶ原馬鈴薯。非常に高品質なことで有名で、TVでもしばしば取り上げられます。私が最も好きなじゃが芋ブランドの1つです。

じゃが芋を語るうえで、この男爵を外すことはできません。

男爵の歴史は、土佐に生まれた川田龍吉男爵が、明治41年にイギリスやアメリカから様々な種芋を取り寄せて試験栽培を行なったことから始まります。

多数の品種を栽培する中で、川田男爵はアメリカ原産の「アイリッシュコブラー」という品種が北海道の地に一番適していることを見出しました。当時は「アイリッシュコブラー」という名称が分からなかったことから、このじゃがいもを「男爵様が育てたいも」として農家が「男爵いも」と名付けたことに由来します。

環境適応性が高く、収穫量も多く、おまけに長期の貯蔵にも耐える実に素晴らしい品種のため、そのDNAは品種改良を通じて多くの子孫に引き継がれています。


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その特徴は、丸くゴツゴツとした形状と、やや深い芽。果肉は白く、でんぷん質が豊富で加熱すればホクホクとした食感が楽しめます。一方、煮崩れしやすいので長時間煮込む料理には不向きです。これぞじゃが芋という香りも特徴的。


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ポテサラ最適品種の1つで、どんなタイプのポテサラにも合いますが、王道タイプに仕上げるのが鉄板。粉質の食感が茹で卵(特に黄身の部分)と相性抜群です。

じゃが芋の女王 メークイン


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今回用意したのは「匠のメークイン」の名称で販売されていた、長期熟成の物。熟成期間はなんと16か月。メークインは低温で貯蔵することで、特に甘みとねっとり感が増す品種とされています。

メークインはその来歴が謎に包まれており、イギリス由来のじゃが芋であることは分かっていますが、その両親は不明。大正6~7年ごろにアメリカ経由で日本に持ち込まれ、北海道で栽培されたとの資料が多いですが、その詳細は不明。ミステリアスなじゃが芋です。名前はイギリスの春の村祭りの際、村の娘から選ばれる春の女王(メイ・クイーン)に由来します。

男爵とは対照的に、収量は普通、病気にも弱く、栽培も難しめの非常にデリケートな品種。そのため品種改良のベースになることも少なく、孤高の女王ともいうべきじゃが芋です。


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その特徴は、楕円形でスベスベした形と、芽が浅く皮が剥きやすい点です。果肉は男爵に比べて黄色っぽく、ねっとりとした滑らかな食感がウリです。煮崩れしにくいので、シチューやカレーなどの煮込み料理に向きますが、焦げやすいのでコロッケやフライには不向きです。1年を超える熟成を経たメークインはさつま芋並みの甘さになり、トウモロコシのような濃厚で香ばしい香りを放ちます。


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その滑らかな食感を活かして、ポテトサラダにするならしっかりマッシュした洋食&ノスタルジータイプに最適です。もしくは煮崩れしやすい特性を活かし、皮を剥いてコンソメスープなどで煮て下味を入れたタイプのポテトサラダにも向きます。

このように、じゃが芋は品種によって味や食感が大きく異なります。ここに熟成などの技術を掛け合わせることで、その個性がさらに分岐していきます。ちょうど今は北海道産のじゃが芋が出回る時期です。是非いろいろなじゃが芋を試してみてください。

では、次回のポテサラコラムでお会いしましょう。

 
 

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