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タベアルキスト・鞠谷紀士によるコラム『ときめきのポテサラ』。 前回は芋の品種による味の特徴についてコラムでした。
今回はさらに一歩踏み込んで、「加熱方法の違いによって味が変わるのか?」という実験をしてみましたので、結果をご報告です!
今回は「男爵」を食べ比べ
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今回は「男爵」を3種の加熱方法で茹でわけ、その特徴に迫ります。
幸運なことにスーパーに男爵の中でもナンバーワンとされる、北海道今金町産の今金男爵を見つけましたので、こちらを材料としましょう。
*余談ですが、今金男爵のプレミアム感はどんなもの?という方は是非、湖池屋さんの「ポテトチップス今金男しゃく」のページをご覧くださいませ
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品種・産地・ロットが同一ですので、試料の均質性は十分。さらに大きさも揃えて3つ用意しました。
なお、今回のコラムはひたすら芋の写真が並ぶ、実に地味かつマニアックな内容ですが、ご容赦ください。
1.お湯で茹でる
もっともスタンダードとされる茹で方から参りましょう
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じゃが芋がひたひたになる程度に水を張り、弱~中火にかけます。沸騰したら弱火にしてさらに20分~25分。串がスッと通れば茹で上がりです。
*加熱時間は芋の大きさによって大きく変動します。串を使って火の通り具合を見ましょう。今回は小さめの芋なのでこの程度の時間です。
*ポテサラ用途で使う場合は、串が抵抗なく貫通するぐらいまで茹でましょう。抵抗感が残るようだと、シャリ感のある茹で上がりとなりマッシュしても固形が残ります。
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茹で上がりを半分に割った断面がこちら。後で比較をしますが、皮と身がピッタリくっついているのが、この茹で方の特徴です。
2.電子レンジで茹でる
いわゆる時短調理です。時間も短縮に加え、ガス代の節約にもなるので、奥様方に支持の厚い茹で方です。
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じゃが芋を濡らしたキッチンペーパーで包み、さらにラップで包みます。
芋150gで500W 3分半が一つの目安になります。時間にしてお湯で茹でる場合の1/10ですね。スピードは圧倒的に電子レンジが有利です。
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レンジで3分半。そのまま1分ほど蒸らした後半分にカットした断面です。芋の上側の方に注目してほしいのですが、皮が芋から浮いているのが分かりますでしょうか。これが電子レンジ茹での特徴になります。
3.蒸す(蒸気で茹でる)
最後は蒸し調理で茹でます
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蒸し器あるいは蒸し調理が可能な鍋で芋を蒸し上げます。加熱時間はお湯で茹でる場合と同じく、20分~25分。
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蒸しあがった姿が、前2つと大きく異なる形になりました。皮面に亀裂が入り、はじけるような形になっています。
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そして、断面も弾けた部分は皮が浮いていますが、その他はぴったりと身とくっついています。皮の浮き方が電子レンジとは異なっている点が注目ポイントです。
さて、3種類の茹で方が上がりましたので、食べ比べてみます。
茹で方によって味は違うのか?
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本コラムは最高のポテサラを追求するコラムですので、マッシュ状態で食べ比べることにしました。左から順に、蒸し・お湯・電子レンジの順で並んでいます。見た感じは全て同じで味の違いなど内容に見えます。
先に結論だけ申し上げましょう。全く異なります!
まず電子レンジですが、男爵のホクホク感は控えめ、全体的に水分が多く残った感じとなり、しっとりと滑らかな仕上がりになります。そして冷えるとモチモチ感のようなものが出てくる。これが大きな特徴です。
続いて蒸し。これは電子レンジの対極に来ます。もっともホクホク感が強く、芋の土っぽい香りも強く感じられます。全体的に紛質で冷めてもほろほろと崩れまとまりにくいのが特徴です。
最後はお湯。これは上2つのちょうど中間に位置するバランスで、もっともクセがない茹で上がりとなりました。
この違いを生み出したものについて考察します。
茹で方の違いは皮の剥け方にでる
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上段が電子レンジ、下段が蒸しによるものです。レンジは表面の皮のみ、蒸しの方はすこし実が付いた状態ではがれているのが分かりますでしょうか。
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これは、お湯で茹でた芋の皮を剥いたときの物です。3層に分かれているのが分かりますでしょうか。皮の真下につるんとした感じの薄い層があり、皮と一緒にはがれたり、はがれなかったりします。
この薄い層だけ食べると分かるのですが、中心部のホクホク下部分とはずいぶんと食感が異なり、もちっとした感じがあります。この薄い層こそが、モチモチ感の正体。レンジで茹でると皮の表面だけが向けやすく、モチモチ層が残るため、味の違いにつながったと考えられます。
あくまで好みではありますが、目指すポテサラによって、以下のような茹で分けをお勧めしたいと思います。
ホクホク・イモの香りを強く出したい → 蒸し
しっとりと纏めたい → 電子レンジ
バランスよく仕上げたい → お湯
また、電子レンジを活用して、時短しつつホクホク系を目指す場合は、皮を少し厚めに剥くように意識してやると、モチモチ感をなくすことができると思われます。
これでまた一つ理想のポテサラに近づきました。
また次回のコラムでお会いしましょう。