プーリア郷土料理のおもてなしを感じる一軒「アンティキ・サポーリ」
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イタリア各州の食文化や魅力、そして、その州の郷土料理が味わえる面白いレストラン、マニアックなレストランなどを紹介しているコラム「日本で味わうイタリアの食卓」。前回はシチリア郷土料理について紹介しました。
そして今回は、イタリア南部に位置する「プーリア州」にフォーカスします。
イタリア南部に位置するプーリア州
イタリア半島のブーツのかかと部分に当たるプーリア州は、アドリア海とイオニア海に恵まれ、新鮮な魚介類がとても豊かな地域。人情味溢れ、海の幸・野の幸・山の幸が豊かなプーリア州は郷土料理を語る時に欠かせないイタリア随一美味しいと言われる州です。イタリアの殆どの州では生の魚を食べる習慣がないことに対して、プーリア州は日本と同じく生食に馴染みがある州としも有名。
内陸は肥沃な平野が広がり、古くからイタリアの穀物倉庫と呼ばれ、トマトやオリーブ、アーモンド、セモリナ(硬質小麦)など代表産地でもあります。また、葡萄の生産量も常にトップ4に入るほど豊富で、プリミティーヴォ・ディ・マンドゥリア(Primitivo di manduria)やネグロアマーロ(Negro amaro)などを中心にワインも急成長しています。
それでは本格的なプーリア州の料理が食べられるお店を紹介します!
プーリア州モンテグロッソの名店「アンティキ・サポーリ」が日本に。
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本場の味をそのまま再現し、現地で修業されてきた山崎大輔氏をメインシェフとして東京・広尾に2013年にオープンした「 アンティキ・サポーリ(Antichi Sapori)」。プーリア州モンテグロッソの本店はイタリア格付誌ガンベロロッソで最高評価の名店と言われます。
プーリアはイタリア一山岳の面積が少ない州で、本来魚介類がとても豊富ですが、モンテグロッソの本店は山側にあるため、魚介は殆ど使わないということ。その代わりお肉やチーズ、野菜などをたっぷり使い、プーリア料理の特徴であるオリーブオイルをベースに新鮮な食材をダイナミックに使っています。店内は広々としていて、内装はイタリアから直輸入して現地と同じ雰囲気を出しているとのこと。ここが日本のプーリア。ここに居るだけで心が温まります。
ずらりと並ぶ前菜の饗宴
焦がし小麦のフォカッチャ、自家製タラッリ、バケット 著者撮影
メニューは、ランチもディナーも3種類のコースから選ぶかアラカルトからも注文が可能です。注文したのはランチコースの中で一番長い前菜7品、パスタ、メイン、ドルチェ、食後酒のコース(4,600円)。
注文後、焦がし小麦のフォカッチャ、自家製タラッリ、バケットのパン3種類が出てきました。タラッリとはオリーブオイルや白ワインを入れて作るプーリア州の伝統的な丸い固焼きパンのことで、素朴ながらもサクッとした歯ごたえが病みつきになります。
アンティキ・サポーリのおもてなし。前菜7品に心躍る
リコッタを詰めた花ズッキーニ バジルソース 著者撮影
中にはプーリア産のリコッタチーズを詰めて、バジルソースと一緒にいただきます。 まろやかなリコッタとバジルソースの組合せは最高。
プーリア州直送のストラッチャテッラ 著者撮影
生クリームとほぐしたチーズを混ぜた、ブッラータの中に入っているあのとろとろチーズです。ミルキーでフレッシュな味わい。特に白ワインと一緒にいただくことをオススメします。
プーリア州の特徴でもあるこの驚くべき前菜の皿数は、元々貧しい州だったプーリア州の沢山食べてお腹いっぱいになってもらおうという、おもてなしの気持ちから由来するものだそうです。また同じ理由からパンやフルーツなどの長期保存のために乾燥したり、硬くなったパンを無駄にしないための色々な工夫が今の料理に伝わって残っていました。
焦がし小麦の自家製オレッキエッテ 著者撮影
パスタはおススメのオレッキエッテをいただきました。小さな耳たぶという意味のオレッキエッテはプーリア州を代表するパスタです。もちもち食感のパスタは噛めば噛むほど香ばしさが伝わります。ズッキーニの葉っぱをペーストしたソースにサルシッチャを加え、味わいは一層豊かに。周りは出来たてリコッタを熟成させたリコッタサラータをかけて塩味と絶妙なバランスでした。
ブラーチェ2種盛り-サルシッチャと馬フィレ 著者撮影
プリッとしたサルシッチャはジューシー。レモンを絞って爽やかにいただきます。炭火焼きにした馬フィレ肉は厚みがあり、口の中でふわーっとグリル感が広がります。プーリア産の大粒岩塩を数粒かけて味わいのアクセントになります。
カッサータとババの2種盛り 著者撮影
カッサータは中はリコッタチーズや甘いクリーム、チョコチップやフルーツのシロップ漬けを加えて周りをアーモンドペーストでコーティングしたもの。リコッタの甘いチーズケーキのようなもので、周りのコーティングや中のクリーム、ドライフルーツが絶妙な食感でとても楽しめます。ラム酒のシロップをスポンジに染み込ませたババはバニラの自家製ジェラートと一緒にいただきます。
食後酒、オレンジピールとアーモンド
毎回の食事に必ず出てくるオレンジピールとプーリア産のアーモンド。一人で来てもこんなに出てきます(笑)食後酒3種類はなんと飲み放題です。左からリモンチェッロ・クレーマ、アマーロ、リモンチェッロ。 ほんと太っ腹!!
ワインは全てプーリア産のワインを取り扱っていて、ここでしか飲めないワインもあるそうなので、是非お料理に合わせてワインも楽しんでください。
南イタリアが懐かしくなったら人情味溢れる小さなプーリアで楽しい時間を過ごしてみるのはいかがですか。
INFORMATION
名称 | アンティキ・サポーリ |
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住所 | 東京都港区南麻布5-2-40 日興パレス1F |
アクセス | 東京メトロ日比谷線 広尾駅徒歩4分 |
電話番号 | 03-6277-2073 |
営業時間 | 〔昼〕11:30~15:30(L.O.14:30)〔夜〕18:00~23:00(L.O.22:00) |
定休日 | 無休(1/1休業、1/2ランチのみ営業、1/3より通常営業) |
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